SCULPTURE

蠟をゆっくりと手の温度でほぐしながら形を生み出していく。素材と形が私の身体と共鳴するとき作品は手をはなれる。そして蠟がブロンズに入れ替わるとき再び別の生命が生まれる。ブロンズに蠟の持つ甘さや優しさを残したまま力強さが育っている。そっと持ち上げると適度の重さが手のひらに伝わってくる。形体と重さが空気を内包してハーモニーを奏でる造形が好きだ。掌の中に今日を生きる生命の力強さと愛らしさを表現したい。

線の空間

鋳造をする時に湯道に使う蠟の棒がある。その棒状の蠟をていねいに縒りながら立体に組み立てていく。蠟棒には微妙なへこみやふくらみができてくる。蠟の棒に円や緩やかなカーブでむこう側の“気配”とこちら側の“気配”を内包させてゆく。

蠟で作られた“気配”はブロンズに鋳造されることで適度な重さを持った構築的な“気配”になる。この“気配”の入れ替わりがうまくいったとき作品は完成する。